第7回(2020)バスケコラム基礎編 五大栄養素について~ビタミン~
はじめに
感染症の影響で以前より自分の時間が増えた方多いのではないでしょうか?ゲームや読書なども気分転換で良いと思いますが、こんな時だからこそ意識していなかった「食事」に目を向けると新たな発見があるかもしれません。今回のテーマであるビタミンは不足しがちな栄養素です。
ビタミンは水に溶けにくい脂溶性ビタミン4種類(ADEK)と水に溶けやすい水溶性ビタミン9種類に分けられます。
ビタミンAは視覚機能や遺伝子発現調整を担います。不足すると皮膚乾燥や風邪をひきやすくなります。過剰症として皮膚剝離や食欲不振など、妊婦は胎児奇形があります。
ウナギ、レバー、乳製品、南瓜、ほうれん草、人参に豊富です。
ビタミンDは骨代謝や遺伝子発現調整を担います。慢性的に不足すると骨粗鬆症や骨折のリスクが高まり、過剰症は腎障害があります。近年、注目されている栄養素でもあります。
ウナギ、カツオ、乾燥シイタケに豊富です。
ビタミンEは抗酸化作用を担います。不足すると溶血性貧血や神経障害の可能性があり、過剰症は低出生体重児に出血傾向があります。
サフラワー油、米ぬか油、大豆油、アーモンド、落花生、小麦胚芽に豊富です。
ビタミンKは血液凝固を担います。ビタミンDと骨形成に関わり、腸内細菌が減ると不足し、出血傾向があります。過剰症は特にありませんが、ワルファリンを服用している人は納豆を食べないように指示されています。
納豆、ほうれん草、小松菜、パセリに豊富です。
ビタミンB1は糖質の代謝を担います。不足すると全身倦怠感、浮腫、知覚異常、眼球運動麻痺、意識障害があります。50㎎/日以上の慢性摂取は頭痛や不眠があるとされていますが、水溶性のため尿として排泄されるので通常の食事で過剰症に陥ることはありません。
酵母、肉、胚芽、乳製品、緑黄色野菜に豊富です。
ビタミンB2は脂質の代謝を担います。不足すると成長障害、口唇炎があります。水溶性で尿として排泄されるうえ、摂取量が多くなると吸収率も低くなるので過剰症に陥りにくいです。
酵母、鶏卵、レバー、肉、椎茸、アーモンド、小麦胚芽に豊富です。
ナイアシンは補酵素として代謝を助けます。不足するとペラグラ、皮膚の荒れ、下痢、精神神経症状があります。過剰症として薬を大量投与した際に消化不良、下痢、便秘、肝障害がみられ、
カツオ、サバ、鰤、イワシ、レバー、ささみ、タラコ、豆に豊富です。
ビタミンB6はたんぱく質の代謝を担います。腸内細菌が合成するので不足することは稀ですが、皮膚炎、成長障害、痙攣、神経炎、食欲不振が出ることがあります。過剰症は長期間による大量摂取をした場合に感覚神経障害が報告されていますが、通常の食事で陥ることはありません。
ニンニク、ピスタチオ、ヒマワリの種、マグロ、鶏むね肉に豊富です。
葉酸は細胞分裂などに関わり、ビタミンB12と造血しています。不足すると巨赤芽球性貧血や免疫力低下、消化管機能異常があり、妊婦さんの欠乏は神経管閉鎖障害のリスクが高まります。悪性貧血の人が過剰摂取すると神経障害や蕁麻疹、呼吸困難などが報告されています。
大豆、ほうれん草、わかめ、牛レバーに豊富です。
ビタミンB12は代謝に関わり、不足すると悪性貧血、ホモシスチン尿症がみられ、過剰症は確認されていません。
牛レバー、青魚、貝類、乳製品、鶏卵に豊富です。
ビオチンは糖新生、アミノ酸代謝、脂肪酸合成に関わり、腸内細菌が合成するため不足することは稀であるが、卵主義者などに剥離性皮膚炎や脱毛、食欲不振が認められています。過剰症は確認されていません。
牛レバー、大豆、鶏卵、ローヤルゼリーに豊富です。
パントテン酸は糖代謝や脂質代謝に関わり、不足すると成長障害や皮膚障害や末梢神経障害などがあり、過剰症は確認されていません。
牛レバー、豚レバー、パン酵母、落花生、鶏卵に豊富です。
ビタミンCは抗酸化作用、コラーゲン合成、コレステロール代謝、鉄の吸収促進を担います。不足すると壊血病や皮下出血、潰瘍形成などがあり、過剰症はありませんが3-4g/日以上の摂取で下痢を生じるという報告があります。
パセリ、ブロッコリー、ピーマン、ミカン、イチゴ、緑茶に豊富です。
参考文献
編:薗田勝 栄養科学イラストレイテッド生化学改訂第2版 羊土社