第10回(2020)バスケコラム 食べ物とお薬の関係
はじめに
コロナウイルスの影響で仕事に影響が出て、活動量が少なくなったので体重が増えてショックを受けているこの頃です。たまには運動をとマスクを着用しジョギングしたらかなり息が上がってしまいました。スーパーへ行くと納豆やヨーグルトなど免疫系に働く食材は売り切れており、デザートも品薄状態でした。何よりレジに並ぶのがしんどいです。仕方がないのでオレンジジュースを用いてゼリー、ジェラート、ホットケーキと展開させています。食材縛りで作れるレシピは様々で、美味しいものが多いので助かります。多少アレンジを加えても失敗しなくなりました。
さて、今回は食べ物と薬の関係について書きたいと思います。
何か医者にかかり、薬を処方され
「水で飲んでください」
と言われたとき
「なぜ水じゃないとダメなんだろう?」
と考えたことはありませんか。
私は栄養学の勉強をしているときに知ったので共有します。
☆グレープフルーツ
グレープフルーツに入っているナリンギンという苦み成分は、血圧降下・血管拡張させるカルシウム拮抗薬に影響を与えます。グレープフルーツ(ジュース)はカルシウム拮抗薬の消化管での吸収を促進させて、肝臓における薬剤解毒酵素を阻害するので血圧降下作用が増強してしまいます。
納豆が有名なビタミンKを多く含む食品は、血液凝固を抑制し血栓の生成を抑えるワルファリンという薬に影響を与えます。ワルファリンはビタミンKと拮抗して作用するため薬の作用が減弱します。
☆コーヒー、お茶
コーヒーやお茶、紅茶に含まれるタンニンという渋み成分は鉄剤に影響を与えます。タンニンは鉄と結合して不溶性の沈殿物を作るので腸管からの鉄の吸収を阻害します。ただ、あまり治療効果に影響を与えないという意見もあります。
☆牛乳
牛乳はテトラサイクリン系抗生物質(ニューキノロン系抗生物質)や骨粗鬆症治療薬、鉄剤に影響を与えます。これは牛乳に含まれるキレート(難溶性)を生成して消化管での吸収を阻害します。牛乳といえばビスホスホネート薬効減弱と覚えたものです。
…初めて聞いたときは虫の名前かと思いました。
ハーブの一種で抗うつ・抗ストレス効果があるとされている植物だそうです。
シクロスポリンという免疫抑制薬やワルファリン、ジゴキシンという強心薬、経口避妊薬、抗HIV薬に影響があります。セントジョーンズワートは様々な薬剤の血中濃度を低下させ薬理効果を減弱させます。
☆アルコール
アルコールはワルファリン、トルブタミドという血糖降下薬、フェニトインという抗けいれん薬、ベンゾジアゼピン系(睡眠薬、抗不安薬)に影響を与えます。習慣的な飲酒は肝薬物代謝酵素を誘導し薬効が減弱します。しかし、飲酒直後は肝臓でアルコールが優先的に代謝されるので飲酒中に服薬すると後回しになるので薬効は増強されます。
そして医薬品の中には味覚や食欲、消化代謝に関わるものがあります。
・D-ぺニシラミン(関節リウマチ)-味覚障害(亜鉛血中濃度低下)
・抗ヒスタミン薬、向精神薬、ステロイド剤-食欲増進(体重増加)
・抗生物質、抗がん剤、マジンドール(食欲抑制剤)-食欲低下(体重減少)
・抗生物質-ビタミン産生低下(腸内細菌によるビタミンBやK不足)
・経口避妊薬-ビタミン欠乏(葉酸、VB2・B6・B12・VC不足)
・αグルコシダーゼ阻害薬-血糖値上昇の抑制(麦芽糖→ブドウ糖への酵素活性阻害)
薬を飲むときは薬効に影響を与えない水が最も適しています。
そしてお酒は薬を飲むうえではいい働きをしないようです。
コロナウイルスで在宅する時間が増えたので勉強に用いていた資料を整頓すると、勉強したはずの内容も難しく思えます。数学とか文法とか覚えていないのだろうな…。徐々に忙しさが戻っていますが、一度読んだ本をもう一度熟読することも良い過ごし方かもしれませんね。
参考資料
・いらすとや
・岡庭豊 発行 クエスチョン・バンク管理栄養士国家試験問題解説2018 株式会社メディックメディア