第3回(2020)バスケコラム基礎編 五大栄養素について~たんぱく質~
はじめに
今回は基礎編である五大栄養素のたんぱく質についてお話しします。
たんぱく質=肉!と思う方が多いと思います。でも実は他にも豊富なたんぱく質源があります。肉以外のたんぱく質や、アミノ酸とたんぱく質の違いなどに触れていきましょう。
たんぱく質とは
20種類のL-アミノ酸がペプチド結合で多数つながった高分子物質である
(参考文献1より)
アミノ酸がペプチド結合して約50個あるとたんぱく質となります。
たんぱく質をつくるアミノ酸は20種類ですが、生理的な機能をもつアミノ酸もあります。
アラニン
バリン
ロイシン
イソロイシン
セリン
スレオニン(トレオニン)
グルタミン
アルギニン
リジン(リシン)
必須アミノ酸という生体内で作ることができないアミノ酸は9種類です。
バリン・ロイシン・イソロイシンはBCAAという筋肉をつくるアミノ酸として有名だと思います。
生理的な機能のアミノ酸
γ―アミノ酪酸(GABA)
オルニチン
4-ヒドロキシプロリン
ホモシステイン
GABAはチョコレート菓子で“ストレスを緩和する“と宣伝してあります。脳の神経伝達物質を抑制する働きがあるので眠くなる可能性もあります。オルニチンはしじみで有名ですよね。尿素回路を回してアルコールが速く排泄されるので朝スッキリというわけです。
たんぱく質の働き
輸送たんぱく質として酸素を運んだり
貯蔵たんぱく質として鉄をため込んだり
情報たんぱく質としてホルモンのように伝達したり
収縮たんぱく質として筋肉を収縮したり
防御たんぱく質として生体防御に関わったりと奥が深いです。
たんぱく質の多い食品
主なたんぱく質源は肉、魚、大豆食品、卵、乳製品です。
アミノ酸スコアという良質なたんぱく質かどうか判断できる基準があります。これは必須アミノ酸という体内で十分に合成できないアミノ酸の含有率を指標にしたものでスコアが高いほど優秀というわけです。
1985年にFAO・WHO・UNUが発表したアミノ酸スコアでは牛豚鶏、魚、卵、牛乳、大豆は100と高い。アメリカではPDCAASという消化吸収率まで考えられたものがあり、乳たんぱくや大豆たんぱくは満点です。大豆、優秀ですよね!
高たんぱくはササミだけじゃないんです!
確かに低コストで摂りやすいですが、卵や納豆、豆腐、マグロ赤身などの存在も忘れないでほしいです。
たんぱく質豊富な食べ物をとったとしても、ビタミンB6が不足しているとうまく筋たんぱくになってくれないなんてことも。ビタミンB6はにんにく、マグロ、サバ、レバー、鶏ささみに多く含まれます。たんぱく質にはビタミンB6がセット。しかしビタミンB6にも助っ人素材があってそれはビタミンB2です。ビタミンB2はレバー、卵黄、うなぎ、納豆、アーモンドチョコレートなどに多く含まれます。
赤線のお寿司はたんぱく質が多いです。(エビはあまり多くありませんが)
三大エネルギー源は糖質、脂質、たんぱく質
たんぱく質は酵素により酸化するとATP産生となりエネルギー源になるのですが、アミノ酸そのままでは酸化しません。糖質と脂質はそれぞれエネルギー源をつくるルートをもっていますがたんぱく質の場合は二手に分かれます。
マラソンなどの持久系競技では糖質が不足するのでアルギニンやBCAA入りのエネルギーゼリーでアミノ酸から糖質をつくって糖質切れを防いでいます。糖新生といってアミノ酸から糖質をつくるルートです。脂質代謝に使われるのはロイシンとリジンで脂肪酸合成したりエネルギー源として重要です。
まとめ
エネルギー源として使われるには糖質か脂質の代謝ルートへ分けられる
必須アミノ酸という食べ物から摂らないといけないアミノ酸がある
酵素、輸送、貯蔵、情報、収縮、防御といろんな働きがある
たんぱく質はビタミンB6とセット
ビタミンB6はビタミンB2とセット
参考文献
栄養科学イラストレイテッド生化学改訂第2版 編者:薗田勝
筋肉をつくる食事・栄養パーフェクト事典 監修:岡田隆、竹並恵里